てんぷらが怖い?

 ばあちゃんはステイから帰宅。今日は「どないしたらええねん?」と路頭に迷う前に「着替えておやつ」に誘導した。おとなしくいてくれたらよかったが、家の中をうろうろした。ただ、外へ行く気はなくなったようだ。
 夕方、私が台所でてんぷらを揚げる用意をしていると、廊下を動き回る。しかたない。台所に入れた。天井の電灯はつけていない。窓際にある小さな蛍光灯でてんぷらを揚げる。薩摩芋と小さなアジ。ばあちゃんはテーブルについていた。私は無言、ばあちゃんも無言。
 しばらくすると、ばあちゃんが椅子からおりて、うずくまっている。テーブルの下にもぐるまではいかないが、椅子の横にうずくまり、恐怖に耐えているようだ。何が怖いのだろう?部屋の暗さ?まさか!ばあちゃんは夜中に目覚めると、真っ暗な廊下をとことこ、トイレにやってくるし、縁側の雨戸を開けたりする。てんぷらの音?まさか!ばあちゃんは耳が遠い。私が無言でいるから?一種異様な怖さがあったのかも、ね。起こして再び椅子に腰かけさせると、またてんぷらを揚げる。またまた椅子からおりてちぢこまっていた。私が虐待したのではないのよ!