「愛と奉仕の勇気ある行動」日野原重明先生の講演

 「なま」で見る日野原先生はとてもお元気だった。歩き方が若々しいし、声も顔のつやも綺麗で若い。ほんとに「怪物」だと思う。(ばあちゃんは怪獣か怪鳥だからなぁ)先生は4月9日にユニセフ親善大使になられました。

「私は西宮ロータリークラブが生まれた年に医師になり満70年です。ロータリー70周年、おめでとうございます。私はあと5ヶ月で96歳、あと4年たつと小澤せいじと音楽会をする約束です。10年・20年先の約束をするとよいです。つまづいて骨折をするのを防げます。
 よく『何を食べていますか』と訊かれます。朝は牛乳。今朝はサンドイッチを食べました。夜は8時に夕食です。私の講演の1時間に水は要りません。水は胃をうるおすが、声帯はうるおさない。水を飲むとは、意味がないことをしている。(あらあら、きむらたくやさん、どうします?)
 夜、仰向けで寝るのはナンセンスです。脊椎動物の構造は犬・猫・馬と同じで、うつむいて寝るようにできている。ベッドが仰向け用になっている。そういうことをサイエンティックに追求して、どちらがよいかを出す医学がなかったのです。
 本日のテーマは『そして道、音楽を楽しむ 人生を楽しむ』
 私は今、8つの理事長をしています。講演は年間500回はあります。その三分の一は音楽の話です。
 私は聖路加国際病院に勤めるとき、御殿場まわりの東海道線で東京に行きました。戦時中でレールを献納し、単線でした。橋の欄干の鉄まで献納し、戦ったあげく負けました。これで鉄砲や大砲を作っていた。あとで思うと、それじゃあ勝つはずない。陸軍は『勝った、勝った』と言っていたが、嘘の情報であった。国民は耐えて絶えて...終戦の5年後、朝鮮戦争が起こり、日本が早く復興したのはこのおかげです。武器を作り、儲けたのです。今、どこの国も戦争の準備をしていますが、武器はねぎらない。ビジネスとしては、よいのです。(ベトナム戦争の話・中略)
 今、憲法9条を変えるか、という話があります。2度の戦争を経験した日本は、平和でいくしか、存在意義はありません。ガンジーの無抵抗主義、キング牧師のワシントン大行進、こういうものを見習うべきです。
 私は『新老人の会』を結成しました。犠牲をともなう愛こそが平和をもたらすと思います。私は4年生の子供に授業をしています。『あんなおじいちゃんになりたい』というモデルを大人が示すことしかありません。
 子供から来た手紙をお見せします。『お父さん、ぼくは勇気の本を読んで、いろいろな勇気があることをおぼえました。すごい勇気。ぼくにもできる勇気がある。お父さんも読んでください』この『勇気』という本は3年前に翻訳しました。よく売れています。
 (中略)
 愛するとはどういうことか?愛には『神の愛』と『人間の愛』がある。『人間の愛』は、人間がそうありたいと求める気持ち。『神の愛』は誰にでも差別無く与える愛。仏教では『慈悲』いつくしむ、というのがキリスト教と同義です。『恕・ゆるし』といい、自分のように相手を考える。他を信じて耐えて待つ愛の心。他を責めず、弱い自分が恕されて生きているように、他を受けてゆく慈悲の心』
 勇気ある行動とは 1.勇気ある発言 2.勇気ある態度 3.勇気ある沈黙 4.勇気ある抵抗 5.勇気ある隠退 6.勇気ある寛恕(ゆるし) 7.勇気ある死
 若さとは?女性はお化粧すれば10歳若く見える。男性は歩き方で10歳若く見せる。(日野原先生の歩き方の実演。かかとからおろす)皆さん『新老人の会』に入ってください。モデルがいますから。
 皆さん、一緒に歌いましょう。」
 張かんなさんのピアノ伴奏、日野原先生のタクトで「ふるさと」を歌った。気持ちよかった。熱演で笑いあり、時間もオーバーであった。先生の元気の秘密を見習いたいと思う。