共同作業

 今日は「ゆ」と言って、田んぼの水路を共同で使っている人の集まりで「溝掃除」の作業をする。
 まず、朝からお弁当を作り、歩いて田んぼに行った。セリを引いた。うちの畑の作り主が花山椒を取りに来て「何してるんですか?」と訊く。「セリを引いているのよ」と言うと「セリがあるんですか?このごろ、ありませんよ。この前は川まで探しに行きましたよ」と言う。セリなんか田んぼに生えるのだ。もちろん、川や水路にも生えるが、田んぼに生えると、太くて短く、食べるには硬い。でも、トラクターで耕すと、ちぎれて田んぼに撒き散らされ、そこから根を下ろし、田んぼ中に広がる。今は畦の際にとどまっているのは、私が毎年引くからだ。作り主は私が引いたセリを掃除して、食べられるところだけ持ち帰った。
 次に隣の田んぼの作り主が来て「セリなんか、引かんでも『草枯らし』(除草剤)をかけたら根まで枯れる」と言う。なんと恐ろしい。でも、買いに行って、散布して、枯れるのを待っている暇に、手で引ける。身体を使うか、お金を使うか、どちらかでしょう?
 小屋にもどってお弁当を食べ、共同作業に行った。「ゆ」の仲間は、昔は26軒ぐらいだったのに、いまや12軒だ。国道沿いの田んぼは区画整理されて、宅地並み課税となり、徐々に売られたり、貸されたりして、農家が減ったわけだ。
 溝掃除は小一時間で終わり、宴会になった。女は私だけだった。もちろん、当番の人は奥さんも来ていたが、宴会には出ないで、台所で働いておられた。隣町のおじさんたちだが、私は、ここの中学に勤めていたし、創立50周年の記念事業の委員もしたし、今も学校協力員だし、話題にはなんとかついていける。私より10年も若い教え子世代、その親世代、私のお兄さん世代、と入り混じって、楽しかった。持つべきは異性の友人で、話題が広がる。秋祭りのだんじりとみこしの話に始まり、昔の臨海学校、はては戦争の空襲の話も出た。戦争はしてはいけない。