愛情

 最近読んだ本で「愛情」について。
 学校では、何をしたらいいか、わりに自由に決められる時間があり、先生は一人ずつに「何をしたいですか?」と訊かれる。「絵を描く」「音楽を聴く」「本を読む」と決まる。音楽を聴く子は隣の「先生の部屋」に移動して聴いている。
 私は「絵を描く」子を見ていた。前の棚の花の絵を描いている。「ていねいに描けたね」と言ってあげながら、その子の「身の上話」を聞く。ただ聞いてあげるだけ。じっとそばにいて聞いてくれる人がいる。それだけ。
 以前、このクラスに年に数回通い始めたころは「家にお母さん、学校には先生」と「よそのおばちゃん」がいるのもいいのではないか?社会に出たときによその人とつきあう練習になるかな?ぐらいに思っていた。
 去年から毎週1回通うようになると、生徒がかわいくなってきた。「愛情をそそぐだけ」それだけ。私と同年齢の人が定年退職を迎えるこの年になって、何を今さら?気がつくのが遅いんだな、私。
 生徒がおもしろくて笑っているとき、一緒に笑う。ときには私が先に笑ってしまうこともあり、なんとなく、のんびりほんわか、ムードがただようとき。