「とし」

 「ばあちゃん、お名前は?」これは言える。「としは?」「はたち」おやおや?「89歳やで、言うて」無言で、困っている。「来年は?」足し算がまったくできない。以前は手拍子とともに数を数えていたが、数えることは忘れたらしい。指折りしても、一対一対応ができないので、指2本が2つとわからない。「89たす1は?」「30」これはまたえらい飛躍ですなぁ...もっとも「89」がどれほど大きいかがわからないから、なぁ。