帰る

 やっぱり怒っている。連絡帳を見る。
「春のせいか、暖かく、本日は眠たく、ウトウトと、突然、大声で『ハイハイ...』と手拍子が出たり、大変、変動が激しい様子でした。お風呂では不安顔で『心配やわぁ。ここにおって』といわれ、姿を目で追っておられました」
 やっぱりね。「うとうとして、突然、手拍子」って寝ぼけ?
 帰るなり、布団に直行で寝た。
 私は毛布を洗う。干していたら、友達が犬の散歩に来たので、ついて行った。時々、行くのだ。「犬、貸してあげよう」というわけだ。うふふ。
 帰ると、何か、変。ベランダに干していた毛布が無い。下に落ちてはいない。ばあちゃんの縁側の雨戸が閉めてある。さてはばあちゃん、裸足でベランダにおりて、ボトボト水のしたたる毛布をかついで、自分の縁側に入れて、雨戸を閉めたのだ。「しまいこと」ね。「なおしておかな、盗られる」ね。被害妄想。
 しかたなく、また出して、毛布についた土を洗いなおして、また干した。ばあちゃんは家中をうろついている。もう、意味のある動作はできない。台所に座らせていたら、逃げようともがいていた。飴を一つ、口に入れると、動かなくなり、ものも言わずにじっと座っていた。ほんま、浮き沈みの激しいこと。