一緒に帰ると忙しいのだ。ばあちゃんを台所に座らせておいて風呂の湯をはったり、しなければならない。じっと座って待つ、などという高度なことはできない。私の姿が見えないと、立って探したり「行こう」と玄関に行ったりする。赤ちゃんがお母さんを追って、お母さんはトイレに入るときもドアを開けたまま、というのとは違い、ばあちゃんはかわいくないのだ。
 私がトイレから出ると「お母ちゃん」と言いながら自分の部屋に行く。連れ戻すと右手に何か、にぎっている。茶色の塊だ。匂いは「きなこ」戸棚に入れた飴だ。しかも下側の容器で、上には同じ型の容器がのったまま。つまり、私が飴を出すのを見て覚えて、飴を出し、容器を閉めてまた上に同じ容器を載せ、戸棚を閉めた!そんな暇があったろうか?それとも、ポケットに隠していて取り出して食べた?こちらの可能性の方が強いかも?