やぶ農家

 片や、伝統の味。「山椒の実を取って」と、佃煮やさんから依頼がきた。昔から、田舎のおばあちゃん達の小遣い稼ぎだったが、いまや、高齢化して採れない...と。おまけに木も老齢化して枯れていく。若い人達は田植えの最中だ。それで、うちなんぞへ依頼がきた。
 片や「食の安全」「地産地消」の時代で「野菜を作って」という依頼。それはとてもとても無理。以前のような「1個3kgの巨大丸大根」のような、大きなのも、美味しいのもできなくなった。そのかわりに、上手な人を紹介する。
 「えー、ずいぶんあっさり断るんやな 〜、がっかりや〜」 それは、自覚「やぶ医者」が自分の手におえない患者はさっさと大きな病院に送るでしょう。それと同じさ。「あ〜、あんた〜、やぶ農家?」と友達に言われた。あはは〜、負けた...