みやげ物店で 木彫り店主につかまる 

 名物は「まりも羊羹」12個入りだ。でもここで買わなくてもよそで売ってるね。重いもん。
「丹頂鶴の卵」?「にっぽんのつるつる」やな。おいしそうやな。生徒の希望の「おまんじゅう」にぴったりだ。中が「黄身あん」だもの。12個入り。
生徒の人数と同じ。でも、先生も待ってるしな〜。重いな、あとにしよう。
 買わずに、ぼーっと歩いていたら、正面のおじさんが「どこから来たの?」「西宮。甲子園球場がある」と言うと「知ってるよ」「車椅子の旅」「車椅子?押してないよ」「え?私?私はボランティア。昨日は鶴居に泊まって、今日は弟子屈の『風曜日』ユニバーサルデザインのホテル」「へぇ〜、偉いね。これ、持ってって」え?ひっかかっちゃったかな?大きなフクロウやん。大きすぎるよ。おまけに言い値が貼ってある「定価」の半額ちょっとなんだよ。すごい腕前。「裏に日付と名前、彫ってあげるよ」「え?どなたの作?」「わたし、わたし!」「え?作者さんでございましたか?失礼いたしました」結局、買わせていただきました。「福」を呼ぶのですもの、断る理由もございません。て、わたし、断れない性格で、いままでにさんざん苦労した。もう、断るぞ〜。
 大きな袋を提げていたら、夫ににらまれたやん。「何、買うた?」て。フクロウ。
 バスに帰ると、かやのさんが「こんなとこまで来て、宣伝してるんか?木彫りやのおじさんに『風曜日で、泊まるのんか?』て訊かれたやん」「はぁ、言うたわ」「『すももちゃんも買うてくれた』言うから、買わな、しゃあないやん」あ〜、しまった。私の名前「彫ってあげる」って、後続の客にも買ってもらう作戦だったんや。同業者が3人でそれぞれの店を張っているんやもん、それぐらい、するわなぁ。すると、客の歩行ルートに店を置く店主が有利なんか?3軒を比べて、値切る客が「えらい」んか?