理由無き反抗はない

 デイから帰って昼寝したまま起きてこない。8時半に見に行くと、暗がりのまま、電気毛布の差し込みを抜こうとしている。手が触れる所にあるからだろうが、抜いてどうする?要らんことには気が回る。いや、回らないから触るのかも?
 トイレに行く。もう「おしっこして」と言ってもわからない。 出ているのか、出ていないのかもわからない。「尿意は失われない」なんて嘘だ。普通の椅子に腰かけているのと変わらない。
 ご飯にする。ところが飲み込まない。「出しましょか?」と言う。奥から入口へと舌で押しやっている。食べているのは、サツマイモの甘煮とご飯だよ。おかしいではないか。ばあちゃんの手が冷たい。おでこも冷たい。背中も熱いわけではない。いつもこんなに冷たいかな?途中でやめた。
 入れ歯を外して洗う時にわかった。上の歯の外にお餅がついていた!
 朝、デイのお迎えスタッフさんが「今日はお餅つきです。お餅、大丈夫ですよね?」と言われ「はあ」と答えてしまった。「じゃあ、見てます」と言われ、安心していた。
 帰ってきてクッキーを食べたときは平気だったのにな。牛乳も平気だったし、入れ歯を外して洗う時も、お餅はついていなかった。歯ぐきに残っていたのだろうね。もう、お餅はだめだね。入れ歯にくっつくのだ。のどにつまるわけではない。