電車

 また近鉄に乗り、鳥羽に着。の予定だった。
 ところが、この集団、そうはいかない。松阪の駅はJRと近鉄が同じ改札口なのだ。先に入った者が「○番ホーム」と言いながら橋上から階段をおりてホームに行き、冷房のきいた待合ルームに入る。
 「電車が来たよ」の声にホームに出たら...「電車が消えた!」「え?」「あれは名古屋に行く電車やったんやで」「そんなぁ〜」「あ、あそこ!あっちのホームに入ったよ!」「え?ここ?あ〜!ここ、JRて書いてある!」「近鉄はあっちや!」「そんなら、行かんと」「こんな大勢いて誰も気がつかんかったんか?」「改札入って、電光表示板に○番と書いてあったよ」
 いやいやそうではない。これはあとでの話だが、あとに続いてホームに下りた者もうすうす「おかしい」と思っていた。「近鉄て電車やろ?架線が無いよ〜って思ったんやけど...」「なぁに?それ?」と若者が訊く。「JRはディーゼルやから架線がいらないんや」「もっと昔は蒸気機関車。トンネルに入る合図の汽笛がピーッとなると、窓際の席の者は窓を閉める係りになるんや」と昔人間が説明する。話題がそれている。
「○番とあったよ」「△分発って聞いたのに『×分発○番ホーム』って変やなぁとは思った」「橋上の表示は『近鉄は*+@番』と、矢印が先に向いてたのに...」「なんかおかしいと思った者はいるのに、なんで気がつかん?」「電車が来る1分前や2分前に気がついたとしても、階段を上がってまた向うのホームへの階段をおりて...間に合わんよ」「ええやん、次の電車にのれたから、今になったら笑い話!」「そうやそうや、行ってしもぅてからでよかったんや」「電車が消えた!ときはびっくりしたね。来てる!思ったのに、なんであっち、行くん?て...」「あはは...」
 恐るべし!集団パワー!なんでも笑ってしまう。(自分の失敗を笑うというのをお忘れなく)