施設に

 家に帰ってすぐ、施設に手続きに行った。解約書を書き、預けていた残金を返してもらう。
「本を出すので編集長さんが 『施設の職員さんにもばあちゃんの思い出コラムを書いてもらいましょう』と言っています」とお願いすると「書かせてもらいます。思い出はいくらでもあるし、こちらにもいい記念です」と言われた。「少数精鋭でお願いします。顔写真や似顔絵はご自分でご用意下さい」
 うふふ。施設の方々と私達家族で「あっぱれ、ばあちゃん」でいくかな。
 なんだか初めの予定とはずいぶん違ってきた。
 介護している人達に、にんまり笑ってもらって「大丈夫よ。肩の力ぬいて」と言ってあげたい。
 また、編集長さんに尋ねられた。「今後は宅老所をするとか、介護の仕事をするのですか」「しません」と言うと意外なようで「介護者の相談にのったり、支援はしたいと思いますが、介護にはむいていません」と言うと、これも意外なようだった。
 昔、私は「60才になったら主婦を卒業したい」と思っていた。52才で末っ子が進学のため上京し、母親を卒業した。ばあちゃんを見送り、61才で娘を卒業した。夫は「二人になってしまったなぁ」と言うが、これからは自分の好きなことをしなくちゃぁね。
 中学校に行くのは続けたいし「紫陽花の会」も続けよう。地道にコツコツ。あとはゆっくり考えよう。