実践リレートーク「この10年」の地域ケアを振り返って〜最初に地域ケアを始められた実践者から〜13時〜

 午後は司会が荻田さんで、報告者は三人。
1.「困ったときはお互いさま・ぬくもりの家」川西市NPO法人・地域活動ステーション
 高木玲子さんは6つの事業をしておられる。
 *介護保険対応・・・デイサービス・ホームヘルプ
 *障害者支援費対応・・・デイサービス・外出介助
 *介護保険対応外・・・ふれあいデイサービス・ふれあいホームヘルプ
 *車椅子対応車貸出事業
 *介護相談事業
 *小規模作業所・・・夢工房
「介護者の皆様のSOSをハートでキャッチ」
 高木さんがやり始めたころは近くにモデルがなくて、富山の惣万佳代子さんや九州の下村恵美子さんのところまで習いに行ったそうだ。
2.「住み慣れた地域で『生きたい死にたい』を地域で支える」駒どりの家・神生昭夫(しんしょうあきお)
 神生さんはとてもよく働く方で、いろいろ、いろいろやっておられる。長田区の「駒どりの家」もしていrて、住んでいる須磨区でも「ふれあい喫茶」から始めたそうだ。「働き者」に圧倒される。
3.「特別養護老人ホーム博愛の園」西岡浩司さん
 「社会福祉法人博愛社」というのがあり、創立120年たつと言われる。それはすごい。今は「博愛の園」は大阪市にあって、いろいろな施設の複合体である。「総合」という感じ。
 ただ「大きい施設は、望まなくても自己完結型になりたがると思う」と言われたのが、正直に聞こえて好ましかった。そうだよねぇ。ばあちゃんの利用していたところもそうだもの。「地域とのつながり」はないと思う。

 三人の方のお話を聞いて「施設から地域へ」も、こういう強烈な個性の持ち主がいるからできるのかなと思う。「認知症の人がニコニコするのがデイサービスだ」「幼児も障害者も社会参加しにくくて引きこもっていた人も、参加できるのが地域サロンやふれあい喫茶だ」とか「認知症でもオープンにしたら地域の人が支えてくれる」「住み慣れてた地域で」と言われても、うちのばあちゃんのように認知症が進むと「地域で支えるなんてむりだ」と思う。
 三人の話が終わり、質疑応答になる。
 一人が「うちは近くの施設があわなくて、遠いところに行っている。中学校区ぐらいの近さで、と言われても、施設の質が問題だ」と言う。「施設がたくさんあっても、その質が問題だ」と。そのとおりだ。
 私も言った。高い参加費を払っているのだ。私は家族で「宅老連」の会員ではないから参加費も高いし「経費」で払える立場でもない。その参加費分は意見も言わなくては損だもの、参加すればたいてい発言する。
 「地域とつながるのは、皆さんのような個性的な個人の存在があってこそかなと思います。うちの母のように認知症が重くなると、地域で暮らすことが無理、入所したいと思います」と言った。最初の報告者のかたが「うちにも、若年認知症の方がいてデイの送迎車も家の前には止めてくれるなと言っていたのに、その人がフラフラと出て行くと、近所の人が止めてくれて、それから家族は隠さなくなり、近所も支えるようになった」と言われた。「私も隠していません。近所の人は強力してくれますが、うちは周りに家が無くて見えない。在宅は無理です」と言う。ほんとに進んだら無理だよ。でもその報告者がとてもいい感じの人だったので「母を支えてくれた近所の人や、介護中の人や、介護職の人やら集まって会をするようになり、年に何回かでも定着したので、それは母が残してくれた遺産だと思います」と言うと「遺産を大切にして下さい」と言われ、にっこりできた。
 司会者が「他にもう一人ぐらい、ご質問は?」と言われたが、誰もいなかった。なんでや、せっかく来たのに、何か言えば。終わってしまったよ。