大阪の地元紙「大阪日日新聞」(ハスカップ情報から)

10年の成果・課題まとめる 介護保険市民オンブズマン 2010年8月19日
 高齢者介護施設と利用者の「橋渡し役(オンブズマン)」を担うNPO法人介護保険市民オンブズマン機構大阪」(大阪市東成区中道3丁目)が、設立から10年の活動をまとめた記念誌を発行した。成果や課題を報告している。
施設利用者からの聴き取りを行うオンブズマン
発行された10周年記念誌
 同法人は、2000年の介護保険制度開始とともに発足。専門家による養成講座を毎年開き、オンブズマンとなる市民ボランティアを育ててきた。オンブズマンは、2人一組で1施設を担当。利用者の声に耳を傾け、施設側に改善点を伝える。
 冊子では、利用者の苦情や要望を類型化。「排せつ」や「食事」など、問題になりやすい点を17項目でまとめ、特別養護老人ホームにおけるサービスの“見取り図”として提案している。
 また、オンブズマン活動の成果を報告。「おむつ交換の際はカーテンを閉めてほしい」など、介護や介護体制について改善された件数は未改善件数の2・3倍に上り、第三者の介入がケア向上に役立っていることを裏付けている。また、本人が説明できなくてもオンブズマンの気付きで生活環境が改善された例も多かった。
 半面、外出の要望に応えられていない施設側の状況も明確になり、その背景の一つとして介護職員の確保や定着が進まない現場の苦悩なども浮き彫りにしている。
 一方で、オンブズマンを受け入れる施設の思いをアンケートし、結果を報告。9割以上が「受け入れて手応えがあった」と答え、「見落としや気付かない点が分かる」「取り組みや改善を行うきっかけになる」などの意見が多かった。
 オンブズマンらは、10年間の蓄積をもとに、施設介護や施設生活の「標準化につながる道筋」を市民の立場から示していくことを今後の課題に位置付けており、岡本祐三代表理事は「第2ステージへの活動の指針を皆さんとともに展開していきたい」と意欲を示している。
 定価500円。A4判、44ページ。問い合わせは電話06(6975)5221、同NPO法人へ。