今週のお題私がブログを始めた理由

 「母がおかしい」と思い始めたのは、80歳をすぎたころだった。
 母は30歳ぐらいから百姓をしていた。年をとっても、口もからだも達者だった。
 それがあるとき、一緒に畑に行くと、茄子や胡瓜の苗を植えつける間隔が短くなっている。姪っ子に「もっと広く、40cmぐらいはなして植えな、あかん」と言われている。そのうち、苗の植え付けのような、1年に一度の作業は、やり方を忘れてしまった。草引きにこだわり「草、引かな、草、絶えへん」と言いながら、年がら年中、畑に通う。今で言う「認知症」の始まりだった。
 母の性格の激しさから、ああ言えばこう言う、逆らう、逆らう。怒る、怒る。「こんなおばあちゃんは、他にはいないのかしら?」とネットで探したが、みつからず、参考になるものがない。
 それなら、自分で書こう! 無料のホームページに「たたかうおばあちゃん」日記を書き始めた。それが、始まりであった。
 途中から、使い勝手の良い「はてなダイアリ」にかえて、携帯メールでブログを書いている。時間をみつけては、パソコンに向かい、文章を修正したり、1ヶ月分をプリントして挿絵をつけ、コピーしてホッチキスでとめて「本」にして配ってきた。
 最初は「首から下は達者。頭のなかは宇宙人かしら?」と思っていた。
 「認知症」を勉強するにつれ、いやいや、「宇宙にかえる人なのだ」と思うようになった。亡くなって、1年が過ぎ、ばあちゃんは土に返り、残されたものにとっての守り神になっている。『お天道様のおかげ』だと思う。
 去年は念願の「本」にして出版もできたし、今もブログは続けている。