認知症、知るほど募る将来不安 制度不十分、県内からも指摘

信濃毎日新聞 08月17日(水)市民福祉情報・オフィス・ハスカップより
認知症介護保険制度に関する知識や関心を持っている人ほど、自分や家族が認知症になった場合に「不安がある」と考える人が多い―。公益社団法人認知症の人と家族の会」(本部・京都市)がまとめた全国アンケートで、こんな傾向があることが16日、分かった。家族の会の高見国生代表理事は「制度としての認知症対策が不十分であることの表れではないか」と指摘している。
 同会は昨年9月、「世界アルツハイマーデー」に合わせて啓発チラシにアンケート用紙を付け、長野県内を含む全国各地の街頭などで22万枚余を配布。受け取った人が記入して投函(とうかん)する形式で、3865人が回答し、ことし1月に集計した。
 認知症介護保険制度の内容について、ともに「知らない」と回答した計52人のうち、自分や家族が認知症になった場合に「不安がある」としたのは25人(48・1%)。一方、認知症介護保険制度の内容をいずれも「知っている」と回答した計3384人のうち、「不安がある」としたのは3049人で9割を超えた=グラフ。
 認知症介護保険制度を「知っている」「知らない」に関係なく、「不安がある」と回答した人の数は3366人(87・1%)。「不安がある」とした理由(自由記述)には、徘徊(はいかい)を防ぐ見守りは介護保険制度の対象外であることから「在宅ではサービスが不十分」「介護保険認知症には使いにくい。(サービスが使える)限度額も足りない。(要介護)認定が軽い」といった声があった。
 「家族で支えられなくなった時、安心して入所できる施設があるのかどうか」といった特別養護老人ホームなどの施設不足を指摘する声も多かった。「家で見られなくなった時の経済的な負担」など、金銭的な負担を挙げる人も目立った。
 家族の会長野県支部の代表を務める飯田市の関靖さんは「認知症の人は、元気で体が動くときほど、火の不始末や徘徊などの心配で介護が大変」とした上で「認知症は病気と言われながらも、現行制度はそれに対応したものになっていない」と指摘。高見代表理事は「介護保険制度が安心につながる制度になることや、認知症に対する理解を多くの人に求めていきたい」と話している。