「新制作展」

 「紫陽花の会」会員の一人が、「彫刻を出展している」と招待はがきをくれたので、見に来た。介護しながら、家事をしながら、彫刻をやっているのだ。えらい、えらい。
 広い会場を、部屋をいくつもまわって、探して歩いた。
 みつけた! 「Look at the skay」という。木彫で、空を見上げる人の群れ。木の固まりに見える。顔がみんな、上を向いている。それが、かわいくて、優しくて、思わず、触ってしまいそうなのだ。誰もいなければ、触ってあげたかった。
 お母さんに、1時間もかかってご飯を食べさせている彼女なのだ。いつのまに、彫刻を? お母さんが寝ているすきに?お母さんがデイに行っているときは、用事をすませに外出しているだろうから、ねぇ。
 あとは、全部を見てまわった。
 私の、心身に障害のある教え子たちも、すごい絵を描くやつがいるのだ。ここに紛れ込んで展示されていても、他人は気がつくまい。芸術ってそういうものだ。「こころ」で描くんだもの。その作品が売れて生活できたら、どんなにいいかと思う。