とんどの準備

 14日の成人式に神社の広場で「とんど」をするので、宮守は準備に行った。リーダーが頑張っておおかたをやってくれていた。 
 中心に立てる長い竹に「恵方」に倒れるように針金を引く。
 まわりに薪をどんどん入れる。たきつけになるような枯枝を入れる。縄で巻いて円錐にする。
 宮守はここまで。あとは、とんどの当日に村中が集まってする。
 心配なのは天気予報で「14日は雨」になっている。
 「雨でもするの?」と人が聞く。
「雨のとんど」もあったのよ。
私が村の子ども会で『村の昔と今』を調べて書いたのが、1993年。その年は雨降りだった。題が「雨降りのとんど」
 長老が「長いこと、とんどに来たが、雨降りは初めてや」と言う。普通は雪が舞い散るのだ。大雪の経験はない。
 「今年は暖かいんだねぇ〜」と言いながら、小止みになったので「小さめに作って早く終わろう」と言う。
 灯油をかけたら、燃えたのだ。雨が止んできて、長老よりもちょっと若い人たちが「集めた竹は燃やしてしまお〜。とんどの『追い炊き』や」と言う。結局、組まずに残していた竹も、どんどんくべて、燃やしてしまった。
 うちのとんどは、残り火で餅を焼く。竹を切って、上の方に、縦に切込みを入れて餅をはさんで焼く。鏡餅を焼く人もいるが、小餅の人もいる。とにかく、その「雨降りのとんど」でも、餅は焼いた。
 だから、今年もやるのだ。