「認知症予防ゲーム  テキスト」高林実結樹著 NPO法人認知症予防ネット・発行 ウィメンズブックストアゆう・発売

 じつは、この本を以前にもらっていた。
 「ベターケア」の「読者はがき」のプレゼントだったかも知れない。
 去年、介護者から「認知症予防講座というのがあるけれど、予防はできるの?」と問われたことがきっかけだった。「『認知症廃用症候群だ』と言われるの」と言う話で、「それは、浜松の金子満雄ドクターの理論だ」とすぐに思い出した。以前に文庫本で「親がボケれば子もボケる」という感じで読んだ。今、本棚には1冊しかない。誰かにあげたのだろう。
 金子先生は「かなひろいテスト」をされる。「ももたろう」のような昔話が、ひらかなで書かれている。それを読みながら、文中の「あいうえお」を拾っていく。「読みながら、あいうえおを拾う」という同時進行をするわけで、拾う数が少ないと、脳の働きが落ちてきている。将来、認知症になるかもしれない、ということで、他のいろいろなテストもしながら、脳のトレーニングをする。「浜松方式」と言う。
 ところが、本が発行された当時も、今も金子先生の説が、いわゆる「標準治療」になっていないようだ。介護職の中には「金子先生も浜松方式も知らない」人もいる。なんで?
 認知症の原因は解明されていない。今は「アルツハイマー病」が原因という人が多数で、次に「脳血管性」の病気があり、その他に少し、いろいろな病気が原因であると言われている。その「いろいろな病気」の中には、治療法がみつかっているものもある。
 金子先生が言われる「廃用型認知症」は「アルツハイマー病型」にくくられてしまっているのだろう。私が「ばあちゃんのように80歳を過ぎたら、体が動かないか、脳が動かないか、どちらかで、世話が必要になる。普通のことや」と言っていたのと同じだと思う。
 「認知症の原因が解明されていない」という点では「認知症予防は無理」ということになる。しかし「介護予防はできるだろう」とは言える。早くにみつけて、まわりが対処すれば、少しぐらい記憶や判断が衰えても、まわりの支えで生活できるということが大事で、そのために介護保険がある。
 この本の「認知症予防ゲーム」は、普通のデイサービスなどの「ゲーム」に似ている。指の運動、数えながらのゲーム、風船バレーボール、などと読むだけなら、変わらない。そのため、初めに手にとって読んだときは「なんだ、普通や」とか「私、運動神経が鈍いから、こんなゲームは苦手や」と思って、放置してしまった。
 著者の高林さんは増田末知子先生のお弟子さんだという。
 「3A」の講演会で、増田先生は、休憩後の第2部で、壇上に上がられて「一緒にやりましょう」と言われ、高林さんがモデルになって舞台の端に上がられた。
 なんでもないゲームが、増田先生がされると、まったく、違う!カリスマだ!にこにこ「そうですよ〜、お上手ですね〜〜」と言われると、会場のみんながにこにこになる。間違うと「あら〜!」と言いながら、笑っている。私なんか、簡単な指の体操でも、間違ってついていけないのに、なんだか、悪い気がしない。家に帰り、早速、最初に問うた介護者に電話で話すと「それは、指導者の人間性やねぇ〜。つまり、介護する人は、人間性を磨かなあkん、いうことやね」と言われた。そうだと思う。