みの柿

 うちのみの柿は、去年はほとんど実をつけなかった。
 「もう寿命かぁ?切ってしまうぞ」と言っていたら、聞こえたのか、今年は実がついた。
 犬と熟し具合を見に行った。干し柿にするには早い。まだ青い。
 ついでに説明するなら、柿はもともとタンニンという渋味がある。それは水溶性で、舌にのせるとタンニンが唾液に溶けて渋いわけだ。秋になると、甘味ができてくる。
 タンニンが水溶性のままなのが、渋柿。
 熟すとちゅうで勝手に不溶性のタンニンに変わると、舌に乗せても唾液に溶けずに渋味を感じない。これが甘柿。久保柿、大久保柿、富有柿などだ。「ごま」と呼ばれる「甘い点」があるから、皮をむかずに爪で傷をつけただけで見分けられる。
 水溶性のままだと渋い。大昔は木で熟して「熟柿・じゅくし」で食べたのだろう。今でも熟柿は作れる。
 次に皮をむいて干し柿を発明した。うちのあたりは、みの柿。
 次に「お風呂の残り湯に一昼夜つける」というのを発明したそうだ。温度管理がむずかしい。うちのあたりでは、やっていない。
 次に「樽合わせ」。これは空になった酒樽に詰めて、残ったアルコールを利用したのだろうが、樽は一度しかアルコールが残らない。うちでは、今は平核無柿(ひらたねなし)を焼酎(ホワイトリカー)を使い、柿にまぶしてレジ袋に入れて密閉し、常温で1週間放置すると、渋が抜ける。焼酎の風味で美味しいが、そのまま常温放置するとどんどん柔らかくなる。出荷・販売にはむかない。
 今はドライアイスで抜く。倉庫に入れて抜くらしい。これが普通に売っている「ひらたねなし」。テレビで見た「紀ノ川柿」は木になったまま、1つずつビニール袋に角砂糖大のドライアイスを入れて密閉する。すると!「ごま」が入る!びっくりした。真っ黒というぐらい「ごま」だった。