「ろうを生きる 難聴を生きる」NHK教育テレビ 本日午後30分

 「どう育む?日本語力(2)―表現力を高めるー
 聞こえない子供の日記です。
「そうじきをかけたり、ようふくをほした。楽しかったです」
「しょうがやきを食べた。たのしかった」
 筑波大学附属聴覚特別支援学校 山本晃先生。「語彙が豊富でないので、楽しかったと書いている。感情語をふやすのに、天気予報の言葉を利用する」
 「きょうは○○○○ふるえるほど、○○こみました」の紙を黒板に貼る。
 先生「今日の朝はどうでしたか?」
 児童「寒かった」  児童は6人かな?
 先生「寒かったよね。“ふるえるほど”。ちょっと震えて」
 児童「寒い!寒い!さ・む・い」(中略)
 先生「ぶるぶるふるえる。」(中略)「とってもね寒いこと、他の言い方で
何ていうかな?せーの・・・」
 児童「ひえこみます!」(中略)次に天気予報の文章を貼る。
 先生「ぬけるようなあきばれです。はっぱのこうようがはじまりました。
    イチョウなみきや モミジもいろづきはじめました」・・・
 先生「いつのお話ですか?」
 児童「秋」・・・
 先生「わかんないことは?」
 児童「ぬけるような」・・・
先生「ちょっとベランダに出てもいいですか。」みんなで出る。
先生「雲は見えますか?」
児童「見えない〜」
先生「どんな空?」
児童「晴れてる!」
先生「晴れてるね。こういうのが、邪魔するのがないくらい、ぬけるような 
青空なの。いいですか。ちょっと読んでみましょう。せーの」
児童「ぬけるようなあおぞら」
先生「せーの。ぷしゅーっ」全員で指を空に突き出す。
先生「抜けるような感じだったでしょう。こういうのがあそこで書いてある ことです」
さすが!こうやって教えるのか〜!?先生はすごい工夫をしておられるのだ。
 山本先生は10年間にわたり、児童・生徒の日記を研究して、同じ言葉を使いまわすことに気づいた。「お墓参りに行きました。楽しかった」やはりそれはふさわしくない。天気予報は1年365日あるわけだから、四季折々の言葉も折りこまれているんじゃないかな?と思い、使い始めた。
 山本先生の授業を受けて、文章を書くのが好きになった生徒がいる。中3の大石周(めぐる)君。小学校時代の日記を全て大切に保管している。言葉が増えたので、自分の思ったことや感じたことを書けるようになった。テレビで知らない言葉が出てくると辞書を引く。将来の夢は宇宙に関する仕事につくこと。
 聞こえずに、こぼれ落ちていた言葉が、確かな実感として、自分の中に入ってくる楽しさ。そのことは、子ども達に、学びの面白さを教えてくれています。