「家族よ、ボケと闘うな! 誤診・誤処方だらけの認知症医療」医師長尾和宏×役人近藤誠著 ブックマン社 2014年12月 

 近藤誠さんは西条市というところの高齢介護課課長さんだ。同姓同名のお医者さんがいるので間違えないで。
 新聞広告で見た時、表紙の挿し絵の大きな鳥にびっくり!「言いたい気分はわかる。怒っているんでしょう?」と思って買ったら、違っていた。
 表紙をめくると「家族よ、ボケと闘うな!」と大きく書かれ、ハシビロコウという鳥についての説明がある。アフリカ出身の絶滅危惧種の鳥で、飼育期間が長くなるほど攻撃性が出て飼育は難しい。単独行動が好きなのに、周りが何かしようと必死になったり、動かない鳥なので終日ボーッとしていたら、「アホな鳥か?」と思われる。でも頭が大きいから本当は賢いと言われる。飛行が得意で翼を広げれば2メートルもある。「・・・あなたはこの鳥の表情から何を感じますか?」とある。 
 「認知症の人は、何もわからないから幸せ、と思ったら大間違い。本当は自分で気づいて、何かおかしいと不安になっている。まわりの接し方で、穏やかに笑って暮らせる」と言いたいのでしょう、長尾さん。
 この本は往復書簡。長尾さんから近藤さんへの「認知症は老化ですか?病気ですか?」に始まり、近藤さんから長尾さんへの「家族よ、ボケと闘うな!患者よ、ボケを怖がるな!」で終わる。
 この本はよくできているし、よくわかる。

 ここで私の「たたかうおばあちゃん」の説明をしておかねば。
 介護職員にきかれたのだ。「ばあちゃんは何とたたかっているの?」「もちろん、草よ!草、引かんと、草、絶えへん!」と言いながら、来る日も来る日も畑に通っていたやんか。ほんとは草が絶えてはいけない。野菜を植えた畝や畝と畝の間の谷は引いても、周囲や、土手などは草を引くのではなく、地上部を刈り取る。草の根が地面が崩れるのを防いでいる。世の中には要らない物は無い。山の木がそうだろう?
 次にばあちゃんの動き方が、見ていると「たたかう!」という感じがあふれている。たたかう相手は知らない。積極的で元気すぎるおばあちゃんだった。体が元気だったから、ほぼ最期まで家で暮らせたと、感謝している。
 私のブログ「たたかうおばあちゃん」を読んでくださった恩師が「あなたはたたかうおばあちゃんを守るためにたたかっているのですね」と書いてくださった。自分では気づかなかったことで、ありがたいことだった。
「家族よ、ボケと闘うな!」もちろん、そうだ。闘う相手が間違っている。
 医者と闘わねばならなくなるのは、困るなぁ。それは無理だ。ばあちゃんの場合はラッキーで、畑に隣接する施設の診療所のお医者さんだった。運が良い、が、その運も自分で引き寄せることも必要ではないかな?
 介護職員とうまくやるのに、どれだけのエネルギーがいることか!最初にケアマネさんと良い関係を築き、味方になってもらう。時には「ブログ・たたかうおばあちゃん」を武器に闘う。
 役所と闘う必要はないので、知ってもらうために「たたかうおばあちゃん」を市長さん、県知事さん、国会議員さんに送ったことはある。すぐに返事を下さった人もいたし、市役所には何度か手紙を書いた。
 何でもやってみるもんだ。
 テレビの連続ドラマの主人公が「二つの道があって、どっちを選ぶと聞かれたら、おもろい方を選ぶ」と言っていた。関西発のドラマだからこういう表現になるが、やってみる方がおもろい。
 失敗したらやりなおせばいい。