さし苗

 田植え後の補植に来ている。
 あれ、真っ黒な蝶が飛んだ。どこへ行った?
 機械はたまに手助けがいる。田植え機が田んぼから出られなくて、前から引っ張ってやらんといかん時がある。世話がやける。トラクターが出られなくなる時もあるそうだ。そういう時は「あやび」を使う。泥の田んぼにあやびを入れて、その上を通る。
 前回のブログを冊子「たたかうおばあちゃん122号」にして配ったり郵送したら、友達が「あやびって雅な(みやびな)言葉ね。それ、なあに?」ときく。
 今回、新しいあやびの包装を解く時に見たら、本体に「アルミブリッジ」と書いてあった。そうか、ブリッジか。トラックの荷台に田植え機を乗せる時と、上の田んぼから下の田んぼへ、その逆へと出入りする時にかける橋なのだ。どうして「あやび」と言うのかは知らないが、夫が言うのでそういう名前だと思っていた。
 さて、さし苗は田植え機が行けない田んぼの隅っこに手で植えることだ。
 ところが、田んぼの隅っこでなくても、必要な場所がある。それは機械が旋回するところだ。
 機械が苗を植える時は、植える爪の横に「舟」というのがあって、地面を馴らしながら行く。機械が旋回する時は車輪のせいで土が盛り上がり、残ってしまう。
 だから、人間が苗の無い所にはさして、盛り上がった土を馴らしながら、さして行く。笑えるね。
 さし苗は好きな作業だから苦にならない。