人脈について

 「たたかうおばあちゃんの介護で得たこと」の講演で「介護は豊富な知識と人脈」と話すと、「今ある人脈を大切にしようと改めて思った」とメールがきた。
 それは正しい。
 けれど、こだわらず、捨てたり、新しい人脈を作ることもある。
 前にも私の話を聞いて「一人で悩まない。みんなが助けてくれると学んだ」と言った人がいて、それを聞いて「そんな甘いもんやない」と言う人もいるわけ。

 うちのばあちゃんは、近所に引っ越して来た人たちに野菜をあげてできた友達がおおぜいいた。
 ばあちゃんがぼけたとわかった時、ほとんどの友達は去って行った。話が通じなくなったら、嫌になったのだと思う。
 年齢が近い友達には、認知症のばあちゃんは支えきれないからでもある。
 認知症ばあちゃんが二人並んで、それぞれ勝手に自分の話をしているのに、空気を共有しているのか、ええ感じになっている風景がある。しかし、その外側には、そのばあちゃんたちの生活を支えている家族なり、プロのサービス提供者がいる。二人並んでいても、二人だけでは生活できない。
 介護されるばあちゃんと、介護する私を支えてくれたのは、精神的には私の古くからの友人であったり、直接見守ったり、手を貸してくれたのは近所に新しくできた友人だった。それから、介護のプロと介護者仲間。
 このような新しい人脈を探して作る。作るんですよ。
 人生は短いので、私の年になったら、嫌なことはさっさとやめるし、やりたいことは邪魔されてもやれる道はないかと探す。