雨は天の恵み

 昨日からの雨。ばあちゃんは朝7時ごろから「どないしますのん?」
 そこで、「どないしますのん、と、わかりません、を言わない」とメモ作戦だ。
 覚えるよ。「血のめぐりをよくする薬」を覚えたし、「デイサービスに行って、トイレの紙を持って帰らない」を覚えた。以前は、手さげがパンパンになるくらい詰め込んできたのが、このごろは持って帰らなくなった。
 では「どないしますのん、と、わかりません」もやめてもらおう。この指示待ち人間は、デイサービスに行くようになってからだと思う。家の中では絶対の権力者であったころのばあちゃんが、他人に指示を仰ぐはずがない。デイサービスに行き、リクレーションで、何をしたらよいか、わからないことがでてきて、初めて人に「教えてください」とか「うまいこと、するやろか?」と言うようになったのだ。
 とりあえず、朝の一番の「わかりません」を止めてみると、ばあちゃんのテンションが上がらなくなった。助かった。おとなしいままだ。
 朝ご飯のあと、下の神さんに行くと、すぐに戻ってきた。新聞を渡すと、部屋に持って行って、こたつに入って眺めている。
 ほっておいて、私はお使いに出た。帰ると、昼ご飯。ご飯がすむと、もう、じっとしてはいられない。
 外へ出たかと思うと「雨、ふっとる。外へ行かれへん」と戻ってきた。「あきまへんわ。新聞、もろて行きます」と部屋に行った。
 これを繰り返すので「雨はありがたい」と教えると「なんでです?」と訊くので「植えた物がよく育つ」と言うと、??? なんでもええやん。「雨降って行かれへん」って「良い天気に家におったら、怒られる」の言い訳やろ? 家におったらええ。言い訳はいらん。