どこ行く?

 朝から、ばあちゃんは興奮中。デイとステイのおかげで、今日しか診療所に行く日がない。
 朝ご飯のあと「胃腸は丈夫でしあわせ」のメモを見せて「では、何の薬?」と訊くと「血のめぐりをよくする薬」と言えた。よしよし。次に「薬がもう無いので、診療所に行きます」メモを見せる。なんとかわかったみたい。外出着に着替えた。
 ところが、診察は9時からだ。ひまがあると、もうだめ。「なんどいな?」「どこ、行くのんどいな?」の繰り返し。なんとか、無視して、8時半に家を出た。畑に着いた。ばあちゃんが寝ている間にとっておいたいちごを小屋から出す。横道から診療所に入った。まだ怒っていた。
 先生は新しい人だった。若い男性だ。自己紹介をして「ばあちゃんのいちごです。どうぞ」と言ってさし上げた。それでも、ばあちゃんは怒っていた。質問も説明も聞こえないので、しんどいよ、ね。