デザートは別腹

 ばあちゃんはステイだ。雨なので、稲の苗にも植えたばかりの薩摩芋にも、水をかける必要がない。竹の子・ミツバ・フキ・ニラ・大根・いちご・白い花(マーガレットの親戚らしい)、いろんなものを持って、先輩に会いに行った。
 先輩がごちそうしてくれたランチ、とてもおいしかった。和洋創作料理とか言って、綺麗にできている。そしてデザート!大きな四角の皿に、アイスクリーム・ムース・プリン・ケーキなど5つも!「えーっ!こんなに?」と言ったくせに、全部食べた!「デザートは別腹!」なのですって。綺麗でおいしくて満足、満足。また行こう。
 先輩のお話も、ためになることが多かった。
 先日の婦人会の福祉講座の話をすると、「受講者の人たち、『なんか、介護って、自分には関係ない』と思ってない?」と言われた。そうかも?
 私が二人の人と、椅子から立ち上がる介助を実演して「こんなに簡単にできるの?!」と言ってもらっていたとき、真ん中に輪になった人たちから「わぁー!」と歓声があがった。これは、去年の秋に、私が介護講座を受講した時の内容であり、「布団にねている人が足元にずり下がったら、どうやって引き上げるか」というもの。「ノルディックスライド」という輪っかなった布に、寝ている人をのせて、介助者が横に足を立ててしゃがみ、「エイッ!」と頭の方に押す。それを交替で実習していて、うまくいったので拍手をしていたのだ。
 でもね、私が秋に習ったときにも、思ったけれど、まったくの寝たきりの人って、そうそういるものではない。脳血管性の病気で倒れても、退院するほどに内臓が回復すれば、片マヒが残っても、動くほうの手足を使い、移動もできる。それを日常生活ができるように使っていくのが介助なのだと、さくら会の実技講座では習ったのだ。
 だから、寝ているモデルさんに「おばあちゃん、動くよ。足、立ててくれる」なんて言うのがおかしい。足が立てられるなら、一度、上体を起こし、座りなおして、布団から畳へ、またはベッドから椅子へ移動して、また正しい位置に乗りなおせばよいのだ。
 やっぱり、講座は進歩が少ない。「これが介護」と思われたら、「自分には関係ない」だろう。「できた!」って、歓声をあげているのを、見ている私は、途方も無く遠い所にいたよ。違和感だったよ。まぁ、ちょっとずつ、ちょっとずつ、広げていくしかないなぁ。