お葬式

 さて、式場に着いたのはもう、開式10分前だった。
 亡くなったのは、うちに来てくれる大工さんのお母さん、つまり先代の棟梁の奥さんだ。棟梁はばあちゃんの息子と同じ年に生まれた人で、家を建ててもらっただけではなく、餅つきに来たり、親しくしていた。じいちゃんが入院した時も、何度もお見舞いに来てくれた。私のことも妹のようにつきあってもらっていた。
 今は私が「おばちゃん」として、第2の実家のようにつきあっている。子ども達からは「芋掘りのおばちゃん」と呼ばれている。じゃがいも・さつまいもだ。
 棟梁の奥さんはまだ若い。わずか8ヶ月の闘病で、逝ってしまった。棺に花を入れて皆で泣いた。ゆっくりと別れを惜しませてくれる演出だった。ご冥福をお祈りします。