ケアマネさんの家庭訪問

 月例の家庭訪問だ。ばあちゃんはデイから帰り、畑に行っていた。
 ばあちゃんを連れに行かなかったら、帰ってきたのは6時45分だった。「ここに入れてもろてもよろしいか?」と言う。「ばあちゃん、もう外は真っ暗やろ?何、しとったん?」と訊くと「草、引いてました」と言う。「でも、暗くて、草も見えへんでしょ」 畑の真上にある施設では、赤々と電灯がついているので、ひょっとしたら、そのあかりで草を引いているのかも知れないし、うろうろと移動しているだけかも知れない。でも、畑から国道におりる道は真っ暗だ。国道沿いの歩道から下のトンネルまでの階段も坂道もなかなか暗い。トンネルとうちの前の道路には電灯がある。
 手を洗い、お経をあげたあと、台所にきたので、「ここはどこ?」と訊くと「むにゃむにゃ」と言う。舌がまわっていない。「お母ちゃんの家」と言う。お母ちゃん、って誰だろう? 
 ごはんを食べていて、気がついた。手が熱い。おでこも熱い。「なんで、熱いの?」と訊いてみると「温度があがったんでしょ」と言う。おもしろい表現だ。「頭が痛い」でもなく「風邪」でもなく「温度があがった」のか。熱中症だろうか?
 「ふろやめて寝なさい」にして、パジャマに着替えさせた。風呂にはデイサービスで入っている。しばらくして、トイレに来たとき「もう起きまんのんか?」と言ったが、返事をせずにいたら、部屋に戻って行った。寝たのだろう。一件落着。