芋掘り

 さくらちゃん一行は13人だ。私が先に降りて、どんどん行く。田んぼに続くコンクリート農道を行き、土の農道へ行く。皆はバラバラとついて来る。畦も休耕田も猪にほじくられてボコボコだ。雨がやんだ。
 田んぼについた。私が芋のつるを切る。ボスが掘る。なんでも、2週間に1回、いなかで土地を借りて野菜を植えているそうで、スコップは慣れている。
 ばあちゃんが上側の田んぼの畦に来て、どなり出した。「こんな雨降りに、芋、掘って、どないするねん?」私が言う。「みんな、聞いてよ。ばあちゃんが怒ってる。こう言うて、毎日、毎日、怒るんやで」一人が言う。「バスの中でも怒ってたよ。『どこ、行くんや?』と訊くから『畑』言うと『こんな、雨の日に畑、行って、どないするんや?』て怒ったよ」
 田んぼの芋は大きかった。一株に入っている数は少なかったが、一つずつは大きかった。写真を撮る人、見ているだけの人、いろいろだ。一人がばあちゃんに芋を見せると「ほぅ〜、大きいなぁ」と機嫌がなおった。なんやねん? そのうち『そない、どんどん掘って、どないするねん?」ときた。私が「ほらね、あげるのがいややから、言うねん。けちなんやから」と通訳する。
 すったもんだで、掘り終わった。一人に3つか4つはあるだろう。「われもこうだ」と言って、花を取っている人、「玄関に飾る」と言って、柿の枝を折っている人...
 バスに乗り、また私の家に帰ってきた。掘った芋をガレージに並べて乾かす。トイレ休憩。