晩ご飯

 晩ご飯を食べようとしていたら、朝、葉ぼたんをあげた人が「お礼」と言って、手作りおはぎを持ってきてくれた。それで、ばあちゃんの晩ご飯は、おはぎだ。
 ばあちゃんに「これ、なあに?」と訊くと「ひきもん」と言う。結婚式の引き出物と同じ意味だ。「ひきもん、て何?」と訊くと「お祝い」と言うから、そうだ。おはぎがお祝いに見えたのだろう。「違うよ」と言うと「おにぎり」と言う。「違うよ」と言うと「なんきん」ときた。物の名前を忘れたら、すべて「なんきん」でかたづける!ばあちゃんの生活の知恵だ。
 おかずを訊いてみた。おでんの中のはんぺんと平てんだが、これは訊いてもむだなので、やめた。薩摩芋の煮物を訊いたら「芋の佃煮」と言う。あはは、あたっているかも?
 昼がチョコパン、おやつがホットケーキにクリーム、晩ご飯がおはぎに薩摩芋、でたらめなメニューの1日だった。血糖値があがるだろうな。ばあちゃんが「血液検査は満点。そこらの若い人より上等」でよかったよ。