しめじ

 家に帰ったばあちゃんは、とんと落ちつかない。台所に行くと、冷蔵庫の一番下の野菜室を開けている。「こらーっ!」と言うと「何もしてへんで」と言う。「開けてるやんか!開けるのがいかん!」
 ついに野菜室までか!床にきのこのかけらがころがっている。野菜室を開けてみると、しめじのパックが開いて、真ん中の1本の頭が欠けている。生しめじは、まずかったのね。
 午後は、畑に行ったが、小雨が降り出して「帰るよ」と言うと、ばあちゃんの唇は紫色だ。血のめぐりが悪い。寒い。
 家について、私が外仕事をしていると、ひまなばあちゃんは冷蔵庫をあさる。今日は3回も、首を突っ込んで、現行犯逮捕となった。「蔵に入れて鍵かけて、出られんようにするぞ!」と脅したが、蔵を覚えているかな?昔の我が家には蔵などない、貧乏百姓だったが。