「しんどいから起きません」

 ばあちゃんは、朝のトイレに来た。部屋まで送って行って「もっと寝なさい」と言うと「しんどいから起きません」と言う。またまた、なんと、珍しい。
 洗濯も終わったのだが、本当に起きてこない。私が洗濯物を干しに行ってもどると、台所で、ばあちゃんが、パジャマに帽子・靴下スタイルで、冷蔵庫のパックを開けて、おかずをつまみ中。 「こら!」と言うと「何もしてまへん」口に入っていても、こう言う。本当に、食べていないと信じているのかも知れない。
「布団で待っとき」と言って行かせる。それから、起こしに行って「起きて。パジャマ脱いで。服着て。ズボンはいて。でんち着て。上着着て」というふうに、久しぶりに、自分で押入れの行李から取り出すのをやってみる。まったくできない。服の名前を覚えているかどうかも、はっきりしない。手を添えて誘導する。最近は8時に起こし、台所のストーブの前に腰掛けさせて、私が用意した物を順番に渡したら、自分で着る。自分でやると全く選べない。つまり何を着てよいかわからない。
 朝ご飯が終わると、もう11時だった。