「行くだけ」

 午後からからばあちゃんは出て行く。追いかけて畑に行ったが、見える範囲にはばあちゃんがいない。家から携帯に電話があり「一人で帰ってきたで」と言う。
 私がそのまま畑にいて、帰ろうとすると、ばあちゃんはまたやってきた。とちゅうで鉢合わせだ。ばあちゃんは私と一緒にそのまま家に帰った。
 三回目に家を出たときは、トンネルで見失い、畑にはいない。診療所にもいない。施設にもいないようだ。なんと、畑にいた!今、まさに帰らんとするところで、坂道を下りる。
 いつ、どこでばあちゃんを見逃したのか、さっぱりわからない。竹薮の坂道を上がって来たのだろうか?ばあちゃんにつかず離れず、後を追い、トンネルに下りて家に向かうのを確認してから、回覧版を持って行く。あかん、見逃さない距離を保たねば...