「病気にならない生き方」新谷弘実著の紹介を転載します。

「マーガリンは、捨てなさい!?」
 いきなりエッと思うような言葉で見出しを書きました。これは、最近読んだ健康に関する書物に書いてあった内容なのです。この本、新谷弘実(しんや・ひろみ)著「病気にならない生き方」(サンマーク出版)は多くの人に読まれているようで、頻繁に新聞広告に出たり、健康雑誌の記事として取り上げられたりしています。
 たいていの人は、日常生活の中で何らかの健康法を取り入れていると思います。ところが、ある人がよいと言う方法が、別の人からはよくない方法になったりするので、一体何が正しいのか分からなくなることがよくあります。また、食べ物についても、市販のほとんどの食材に合成食品添加物が使用されているので、そんなことに敏感になっていると何も食べられなくなるというのが現実です。その結果、〈別に健康法など何もしなくてもよい、一生懸命体を動かして働き、食べ過ぎない程度に美味しい物を味わって食べて、それで死ぬならそれでいいではないか〉ということになります。ところが、そのような現実のおかげでしょうか、病院と生命保険会社は大繁盛です。しかも、一家の大黒柱を病気で亡くし、家族が路頭に迷うというケースもたくさんあります。
 実は、健康のことについて書くということに自分でも少し迷いがあるのです。というのは、私自身が模範的な健康生活をしているわけではないからです。長年ジョギングを続けていたり、玄米を食べてはいますが、体によくないと言われている、アルコール、肉、魚、菓子類などをたくさん飲食しています。そんな私が健康のことについて書く資格があるのだろうか、と思うのです。また、家庭においても、家族それぞれが食べ物の好みが違うので、いくら健康のためという錦の御旗を振ったとしても、言い過ぎると家庭内の不和を生じることがあります。さらに、こんなことを書きながら、人間ドッグや定期健康診断で深刻な病気を見つけられるかもしれません。これから先の私の体はどうなるか分からないのです。
 それでも、私の健康に対する関心はなくなることはありません。それは、できるだけ長く家族を支えたいし、好きなことをできるだけ長くしたいし、死ぬとしても苦痛を伴うような病気になりたくないし、家族に長い間介護されるような状態になりたくないからです。これは誰もが持っている願いではないでしょうか。
 そんなときに前述の本に出合いました。この本に書いてあることは信用できる、と思ったのは以下の点です。

●著者は、世界で初めて、新谷式と呼ばれる大腸内視鏡の挿入法を考案し、開腹手術することなく大腸内視鏡によるポリープ切除に成功し、医学界に大きく貢献した。日米でおよそ30万例の胃腸内視鏡検査と9万例以上のポリープ切除術を行っており、この分野の世界的権威である。
●著者は、胃腸内視鏡の専門医になって約40年間、一度も死亡診断書を書いたことがない。
●著者の「新谷食事健康法」では、ガンの再発率がゼロ%であること。
●著者は、日米の大統領、総理大臣を始め多くの著名人を診察、相談、治療していること。
●著者は、医師になってから45年間、一度も病気になったことがない。

 では、ここから内容について述べることにします。
 著者が30万例以上の胃腸検査の結果分かったことは、「健康な人の胃腸は美しく、不健康な人の胃腸は美しくない」という事実でした。そこから、著者は、胃腸の状態について、「人相」になぞらえて「胃相」「腸相」と呼びます。そして、胃相、腸相に最も大きな影響を与えるのは、食歴と生活習慣だといい、この本は、著者が膨大な臨床結果からたどりついた「健康で長生きする方法」について、誰にでも分かりやすいように書かれたものなのです。しかも、その方法を一言で言えば、「ミラクル・エンザイム」を消耗しない生活を送るということだ、と明言しています。
 この「ミラクル・エンザイム」という言葉は著者の造語です。「エンザイム」は酵素のことで、難しく言うと、「生物の細胞内で作られるタンパク質性の触媒の総称」だそうです。また、物質の合成や分解、輸送、排出、解毒、エネルギー供給など、生命を維持するために必要な活動にはすべてエンザイムが関与しています。テレビで放送され、よく知られるようになった「コエンザイムQ10」もその一つです。そして、彼がいう「ミラクル・エンザイム」は、必要に応じて特定のエンザイムに作り替えられる以前の、どのようなエンザイムにもなれる可能性をもった原型となるエンザイムです。ですから、ミラクル・エンザイムを補うような食事をし、それを浪費しないような生活習慣を身につければ胃相・腸相がよくなるというわけです。本書では、その食事のあり方を教えてくれます。
 本書に、「流行の健康法にはウソがいっぱい」という項目がありました。次に挙げるのは間違った健康法だといいます。
・腸のために毎日ヨーグルトを食べるようにしている。
・カルシウム不足にならないよう、毎日牛乳を飲んでいる。
・果物は太りやすいので控え、ビタミンはサプリメントでとるようにしている。
・太りすぎないよう、ごはんやパンなど炭水化物はなるべく控えるようにしている。
・高タンパク低カロリーの食事を心がけている。
・水分はカテキンの豊富な日本茶でとるようにしている。
・水道水は残留塩素を抜くために、必ず一度沸騰させてから飲んでいる。

 このうち、ヨーグルトと牛乳が胃相、腸相を悪くするという事実に驚きました。なぜよくないのかについて、著者は以下のように述べています。
 まずは、牛乳のことです。
● 病院食によく見られるもう一つの間違いは「牛乳」です。牛乳に含まれるおもな栄養素は、タンパク質、脂質、糖質、カルシウム、ビタミンです。なかでも牛乳は日本人に不足しがちなカルシウムを多く含むという理由で、とてももてはやされています。でもじつは、牛乳ほど消化の悪い食物はないといっても過言ではありません。それほど牛乳は消化が悪いのです。牛乳はさらさらした液体状のものなので、のどが渇いたときに水代わりに飲む人もいますが、大きな間違いです。牛乳に含まれるタンパク質の約8割を占める「カゼイン」は、胃に入るとすぐに固まってしまい、消化がとても悪いのです。さらに、市販の牛乳はその成分がホモゲナイズ(均等化)されています。「ホモゲナイズ」というのは、搾乳した牛乳の脂肪分を均等化させるために撹拌することをいいます。なぜホモゲナイズするのがいけないのかというと、撹拌するときに牛乳に空気が混じり、脂肪成分が過酸化脂質になってしまうからです。過酸化脂質というのは文字どおり、「酸化がとても進んだ脂」という意味です。わかりやすくいえば「錆びた脂」です。これは活性酸素同様、体に非常に悪い影響をおよぼします。
 その錆びた脂を含んだ牛乳を、今度は100度以上の高温で殺菌します。エンザイムは熱に弱く、 48度から115度の間で死滅します。つまり、市販の牛乳というのは、大切なエンザイムを含まないだけでなく、脂肪分は酸化し、タンパク質も高温のため変質しているという、ある意味で最悪の食物なのです。その証拠に、市販の牛乳を母牛のお乳の代わりに子牛に飲ませると、その子牛は4,5日で死んでしまうそうです。エンザイムのない食物では命を養うことはできないということでしょう。

 次はヨーグルトのことです。
● 最近「カスピ海ヨーグルト」や「アロエヨーグルト」など、各種のヨーグルトが健康効果をうたってブームになっています。しかし、ヨーグルトを毎日食べると腸によいというのは「ウソ」だと、私は考えています。ヨーグルトを食べつづけている人に話を聞くと、「胃腸の調子がよくなった」「便秘が治った」「ウエストがスッキリした」というようなことをいいます。そして、こうした効果があるのは、すべてヨーグルトに含まれている「乳酸菌」のおかげだと信じているのです。ところが、この「乳酸菌のおかげ」というのが、そもそも怪しいのです。人間の腸にはもともと乳酸菌がいます。こうしたもともといる菌を「常在菌」といいます。人間の体は、外から入ってくる菌やウイルスに対するセキュリティシステムができあがっているので、たとえそれが体によい乳酸菌であったとしても、常在菌でないものは、このセキュリティシステムに引っかかり殺菌されてしまうようになっているからです。まず最初に働くのが「胃酸」です。ヨーグルトの乳酸菌は、胃に入った時点でほとんどが胃酸によって殺されます。そのため、最近では特別な工夫を施して「腸まで届く乳酸菌」を売りにしたヨーグルトも登場しています。しかし、腸まで届いたとしても、はたして常在菌と手を取り合って働くことが本当に可能なのでしょうか。たしかにシャーレの中では生きたまま腸に届くことが確認されているようですが、実際の胃腸の中は実験室とは違います。私がこうした「ヨーグルト神話」に疑問を感じるのは、臨床現場では、ヨーグルトを常食している人の腸相がけっしてよいものではないからです。ですから私は、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が生きたまま腸に届いたとしても、そこで腸内バランスをよくする働きがなされることはないと考えています。ヨーグルトを常食していると、腸相は悪くなっていきます。これは30万例の臨床結果から自信をもっていえます。もしあなたがヨーグルトを常食しているなら、便やガスのにおいが強くなっているはずです。これは腸内環境が悪くなってきている証拠だと思ってください。くさいのは、毒素が腸内で発生しているからです。

 さらに、悪い食べ物の一つにマーガリンが挙げられているのには驚きました。見出しに書いた所以です。著者は以下のように書いています。
● もっとも酸化が進みやすい食物の代表が「油(脂)」です。現在一般的に市販されているオイルの多くは「溶剤抽出法」といって、原材料にヘキサンという化学溶剤を入れドロドロにしたものを加熱し、油を溶け出させたうえで、さらに高圧・高熱下で溶剤だけ蒸発させるというやり方で作られています。この方法だとロスが少なく、加熱してあるので変質もしにくいのですが、この方法で抽出された油は「トランス脂肪酸」という体にとって非常に悪い成分に変わってしまうのです。つまり、腐敗(酸敗)しない代わりに体に害を与える成分が含まれているということです。トランス脂肪酸は、自然界には存在しないので、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすほか、ガン、高血圧、心臓疾患の原因になるなど、さまざまな健康被害をもたらすことが報告されています。
 そして、このトランス脂肪酸をもっとも多く含んでいるのが、「マーガリン」なのです。動物性脂肪のバターより植物性の油で作られたマーガリンのほうがコレステロールもないし、体によいと信じて使っている人は多いと思いますが、これは大きな間違いです。じつはマーガリンほど体に悪い油はないのです。患者さんに食事法の指導をするときにも、「もし家にマーガリンがあったら、すぐに捨てなさい」といっているほどです。もともと植物油というのは常温下では液体となっています。これは植物油に不飽和脂肪酸が多く含まれるからです。同じ油でも動物性の脂肪が常温で固体であるのは、飽和脂肪酸を多く含んでいるからです。ところがマーガリンは植物油であるにもかかわらず固まっています。なぜマーガリンが常温下でも固まっているのかというと、水素を添加し、不飽和脂肪酸飽和脂肪酸に人工的に変化させているからなのです。マーガリンの原材料である植物油は、もともと溶剤抽出法で抽出されたトランス脂肪酸を含んだ油です。それに水素を加え、わざわざ不飽和脂肪酸飽和脂肪酸に変化させているのですから、これ以上悪い油はないといっていいでしょう。

 これまで、体に悪い食物ばかりを挙げましたが、次はよい食物としての水です。
● 水は人間の体の中でさまざまな働きを担っています。そのなかでもっとも大きな働きは、血液の流れをよくし、新陳代謝を促進するということです。老廃物や毒素を排出し、腸内細菌やエンザイムの活性化を促します。ダイオキシンやさまざまな環境汚染物質、食品添加物や発ガン物質なども、よい水はちゃんと体外に排出してくれます。そのため、水をあまり飲まない人は、病気にかかりやすくなります。ごく身近な例でいえば、よい水をたくさん飲んでいると、風邪を引きにくくなります。なぜなら、気管支や胃腸の粘膜など、ばい菌やウイルスが侵入しやすい場所がよい水によって潤っていると、免疫細胞の働きが活発化し、ウイルスにとって侵入しにくい場所になるからです。それに対し、水分を充分にとっていないと、気管支の粘膜は脱水し乾いてしまいます。気管支では痰や粘液が出ていますが、水分が不足するとそれが気管支にペタッと張りつき、ばい菌やウイルスの温床になってしまいます。よく水分をしっかりとりなさいというと、「水はあまり飲みませんが、お茶やコーヒーをよく飲んでいます」という人がいるのですが、人間の体にとっては、水分は「水」でとることがとても大切です。なぜなら、お茶類、コーヒー、炭酸飲料、ビールなどの「水」ではない飲料は、多飲すると血液中に水分を補うどころか、逆に脱水を起こす原因になってしまうからです。これらの飲料に含まれる糖分やカフェイン、アルコール、添加物などは、細胞や血液から水分を奪い、血をドロドロにしてしまいます。成人であれば、最低でも一日に1500 cc〜2000ccは飲むことをお勧めします。

 著者のいう「病気にならない生き方」をもっと詳しく知りたい人は、是非本書を読んで下さい。