夜は寝ないし...

 そんなこんなで、昨日は落ち着かないばあちゃんであった。家に入ってからも、うろうろ。
 私に「誰もおってやない」と言う。私がいるのは、何なんや?私が夫と話していると「誰もおってやない」と言う。「ここにお父ちゃんがいるから、おとうちゃんに訊いてみ」と言うと「どないしたら、よろしおます?」夫は「部屋に帰って待っとき」と言うと...行った。やれやれ。
 早〜くに晩ご飯を食べさせ「今日はデイでお風呂に入ったから、もう入らなくていいよ」と言うと「寝ます」と言う。しめしめ、うまくいった。
 寝る訳がない。高校生と勉強していたらばあちゃんの部屋と応接間の境目の戸を開けて入って来た。こんなところに戸を作らなきゃよかった。じゃまになること。ばあちゃんは「電気、がんがん、つけんと、半分、消してんか」と言う。戸のすき間から灯りがもれるのはしかたがない。「ばあちゃん、今、勉強してるから、ちょっと待って。消したら暗いんや」と言うと「そうか。終わったら消してよ」と命令するんかいな。かなわん。まぁ、それ以上は来なかった。
 勉強は終わり、生徒は帰った。台所でご飯を食べていると、何度も起きてくる。畑に行って疲れた日はぐっすり寝てくれる。おしっこも部屋のポータブルトイレでやっている。
 こんなふうに元気一杯で寝そびれた日は最悪だ。会議から帰った夫と話していると「せんど、見まへんな」と言いながらやってきた。夫が「なにが、せんど、見まへんな、や!」と怒る。怒ってもしようがない、とわかっているのに、未だに「おっちゃん」と呼ばれたり「せんど、見まへんな」と言われると、腹がたつらしい。今まで一緒にいたのに「お久しぶり」と言われると「お世辞か?これは」と思うらしい。ただの社交辞令や。「これが、ほんまに一月ぶりに会う人なら、本気にして『ばあちゃん、しっかりしてるやん』に見えるんやろな」と言う。なさけないもんです。
 今までは「何か、食べてやろう」と思って台所に来ていたはずなのに、今回は「早く寝ろ!」と一喝されて「それ、食べよか?」と言わなかった。テーブルには饅頭があったのに!