「なおらない病気」なんて嘘

 会長さんの奥さんが若くして認知症と診断されたとき、医者は「余命3年」と言ったそうだ。もう10数年、介護しておられる。「それが、嬉しいことに、笑ってくれるようになりました。医者に言いたい。『余命3年』の診断は何やったんや?回復してきたよ」
 あけみさんのご主人も、脳梗塞で倒れたとき医者は「寝たきりで回復しないだろう」と言ったそうだ。あけみさんは「何くそ、私がなおす!」とがんばった。今では車椅子で北海道に行くし、ご飯だって好きな物をつまんで食べておられる。初めは言葉が出なかったが、失語症ライブに行き、「はい」と言えた。あけみさんの喜びようったらない。いろいろ会話しているうち「この人の名は?」とあけみさんが訊くと「あけみ」と言ってくれた。「え? お父さん、もう1回、言って」と言うと「言うたやん」またまた、あけみさん、喜ぶ。 次のときは「この人は?」と訊くと「奥様!」と言われたのだそうだ。
 教科書には「一度獲得した機能が、脳の病気によって使えなくなる」とか書いてあるらしい。確かにあけみさんのご主人の場合は「脳の血管の病気」と納得できるが「回復しない」わけではないことがこれで証明される。