火の粉

 まだある。この前、竹薮の掃除をして、その竹を畑に持ち出して燃やしていたときのこと。ばあちゃんがすぐそばで草を引いている。「ばあちゃん、危ないよ。燃えるよ。もっとあっちに行き」と言うと「はい」と言うのだが、焚き火にまるで関心がない。うつむいて草を引いている。熱くないのだろうか?
 1年前だったか、焚き火をしていたら、ばあちゃんが「危ない!」と怒る。私が「あっち、行っとり」と言うと、怒りまくって、そのまま診療所に行ってしまった。電話がかかってきたので迎えに行くと、ばあちゃんは「あんなとこで、火、燃やして、どないすんのんどいな!」と言いながら、所長さんに怒っていた。火を燃やしているのは私だ。所長さんではない。この時は「火が危ない」と言う認識はあったわけだ。
 今、見ると、ばあちゃんのキルティング上着に穴が開いている。袖にも背中にも、穴がある。火の粉が飛んできて、服にひっついたわけだ。「ばあちゃん、燃えなくてよかったね。服が燃えたら、死んでるよ。消防車が来るよ。死ぬ時は布団の中で死んでね」とあほなことを言ってみたが、「知らん」で終わりだ。せいがないなぁ。