「兵庫の匠」

 本日の目的地、私の出身中学に行く。今日は「兵庫の匠」キャラバン隊がやってくる。
 2年生が20人ぐらいのグループに分かれて「プロ」の方々の指導を受けている。「金属加工」は指輪を磨いていた。「左官」さんたちに習うグループは人形に色をつけていて、あとでプロの壁塗りを見せてもらう。「洋裁」はネクタイの裏地をまつり縫いしている。「和裁」は手提げ袋を縫い、「寝具」は座布団に綿を入れて最後の縫い目をまつり縫いだ。生徒たちに「技術家庭科で縫い物を習いますか?」と訊くと「1年生で少し習った」と言う。「うちのお姉ちゃんは縫い物が好きで、この学校の家庭科部だったのですが、今もありますか?」と訊くと「ありません。今ははやりません」と言う。残念。昔はこどもは手伝いをしながら、家事もいろいろな技術も身につけて成長したものだが、今は便利で何でも売っている。親や姉兄・年上の友人から伝承されることが減ったのは残念で惜しい。だんだん不器用になる気がする。だから、このような「匠」の出番となる。
「調理」班は巻き寿司を作っていた。「家具」は色紙を飾る額、「塗装」は看板のような物に色をつけていた。「畳」は畳表にへりをつけて花瓶敷き、「石」はなんと大理石の表札に自分の名前や好きな言葉を彫っている。「大理石ですか?すごいですね」と言うと「柔らかいので簡単です」と言われた。「彫れた後、こうやってきれいにまっすぐにお化粧するといいよ」と言いながら「匠」が実演された。
「写真」班では、スクリーン、照明器具、傘(裏側を照明の反射板にする!)などを持ち込んで人物を撮影する。先に撮影されたものはもう現像できていて「綺麗ですね〜表情がいいですね」と言うと、プロの写真やさんが「撮った人の腕がいいんです」とほめてくださる。生徒が二人一組になって写しているのだ。
 最後に行った「ガラス」やさんは万華鏡を作っていた。もうほとんどできあがっていた。丸い筒に鏡を3枚入れて三角形にし、下にふたをして、中にいろいろのビーズを入れる。上がのぞき穴になる。筒の周りに千代紙を張り、上下にまた別の紙を張るのだが「ここが皆さんの感性の見せ所ですよ。同系色でもよいし、反対色もまたよし」と教える「先生」が上手だ。ほめ上手だ。「教えるの、上手ですね」と言うと「奥さんのお口の方が上手」とやられた!匠の皆さんは、おそろいのジャンパーで「GLASS MAN」と書いてある。すごいですね。「普段はどんなお仕事ですか?」と訊くと「普通におうちにお邪魔して、ガラスの取替えです」あ、それなら、子供が小さいころはよくガラスを割って、お世話になった。どうもどうも。
「匠」の皆さんはそれぞれの組合に所属していて、このキャラバンに登録されている。1年に20校しか来てもらえないので、くじかなんかであたった学校は幸せである。それにしても、どこを見てもいちいち質問したり、話しかける「変なおばちゃん」に見えただろうね。参観日を兼ねているらしく、2年生の保護者やPTAの名札をつけた人、校区の小学校の5年生も見学に来ていた。「匠」の皆様、ありがとうございました。