入れ歯が無い

 ちょっと、待って、何か変。入れ歯が無い。「ばあちゃん、入れ歯が無いよ。探しに行こう」部屋に行って、まず、布団を見る。枕の下、机の上、たんすの引き出し、どこにも無い。押入れのたんすから丸い缶を出してきた。入れ歯があった!ところが、それはじいちゃんのだ。よく、そんな物、今まで置いていたなぁ。
「ばあちゃん、入れ歯がないと、ご飯が食べられません。探しなさい」と言うと「どこにおますか?」と言う。それがわかっていたら、苦労するかい。
「ばあちゃん、入れ歯がないと、ご飯、食べられません」と言うと、なんと、布団に入ってしまった。寝て、どうするねん?いつも「宝探し」しているのに、おなか、すかへんのん?「しかたない。歯、無しで食べなさい」と言うと「ハイ」まぁ、ご飯は柔らかめだし、おかずも豆腐とかだから、もにゃもにゃ、と噛んだか噛まないか、で飲み込む。ま、消化はするだろう。