「介護予防に筋トレ?」

 夫の話。民生児童委員の月例会に、地域包括支援センターの職員が来て説明をした。「ご意見」を求めるアンケート用紙も配ったそうだ。
 夫が言う。「介護予防に筋トレが利くのは、ぼけてない人だよ。ぼけの予防にはならないよ。ばあちゃんを見てみろ。お前がばあちゃんの腰を持って後ろから押して行くと『こけますがな!』と言いながら、とっとっとっとっと、歩いているやろ。これを他の年寄りにやってみろ。たちまちこけるで。ばあちゃんは上体をそらし、お前の手に体をあずけ、押されるままに足はちゃんと前に運んでいるやろ?試しに、わしも『ばあちゃん、部屋で待ってろ』言うて、首ねっこ、ばあちゃんの服の後ろを持って押してみたら、とんとん歩いたで。すごい運動神経の持ち主で、体力は抜群や。80歳以上の陸上競技大会があったら、100m走に出たら優勝するで。でも『なんで、走らんならん?』意味がわからんので、あかんけど、な」
 老人検診に「介護が必要になりそうかどうか」チェック項目を入れるそうだ。そこで「将来、介護が必要になりそうな人」を拾いあげたら、すかさず手を打つと効果はあるだろう。ぼけるタイプでなければ、筋トレもいいかも?ぼけるタイプなら、ばあちゃんが受けてきたような「デイ」のほうが絶対に良い!おかげで5年たっても、認知障害の進み方は「ゆっくり」だ。これでも、まだまだいろいろなことができる。草を引く集中力はたいしたものだし、ばあちゃんの残存能力ももっと認めてやってほしい。「怒る、怒る」と否定的な面ばかり見ないで。