「なんで?」

 晩ご飯の前。「ばあちゃん、ここはどこ?」「*@+>」何度、訊いても日本語が言えない。やっと「事務所」と言う。「どこの?」と訊くと「ななくさ」と言う。「何しに行くの?」と訊くと「ご飯、食べに」と言う。こんなにななくさが好きで、毎日、行きたいのに「来るな」と断られた。
 メモを書いてみた。「ばあちゃん、ななくさから『来ないでください』と断られた。何をしたの?」1回目は正しく読めた。また読ませると『来ないで』と『したの?』が読めない。なんで?書かれた文の意味がわかり、無意識に拒否しているのだろうか?それとも、まったくわからないのだろうか?
 ご飯を夢中で食べる。終わってまた訊いたら、また「事務所」と言う。「個別対応」が効いて、一人でご飯を食べると「事務所」なのだろうか?「食堂」なら、一緒に食べる人がたくさんいるのだろうか?ばあちゃんが怒り出したときに、事務所で個別対応したのが、そもそもよいことかどうか?たとえば、夜中に起きてきて「もう起きますのんか?」とか「ここにおらしてもろても、よろしぃか?」と言ったとき、家なら「だめ、夜だから、寝なさい」と言うと「夜でっか?」と言いながらも布団に入る。起こしておやつなど与えると、ばあちゃんはそういうのはちゃんとみていて「この人に言うとおやつがもらえる」と味をしめてまたやってくるのだ。
 私が薬をとりに立つと、ばあちゃんはすかさず手を伸ばして、テーブルの上に置いた紙をさわる。水を取りに立つと、テーブルの上にこぼれた水を手でさわって拭く。つまり、人の目が無いと、さっと手を出す。なんで?確かに見ているといらいらする。私も「もう、あいそ、つきた!」と日々思うので、ステイに行けば、もてあまされるのも当たり前。88歳、とっくに親の年齢を超え、姉の年齢も超えてしまった。
 けどなあ、やっぱり土・日に預かってほしいよ。半年も前から頼んである「甥っ子の結婚式」はどうなるの?12月の祝日なんだよ。せめてこんな日ぐらい預かってほしいよ。土・日だから行事を組むのだし、それも行けないの?講演会も行けないの?年に1回、旅行に行くのも行けないの?来年は「つどい場さくらちゃん北海道車椅子の旅」を平日にしてもらうように頼む?