反比例

 昨日、ばあちゃんは怒りながら帰ってきたが、朝行くときは普通だったのだ。
 今日は起きる前から興奮状態で、押し入れを開けている音がする。行ってみると、衣桁にパジャマズボンをかけている。おしっこね。はき替えのパンツパジャマを渡して「まだ早いから寝とき」と言うと布団に入ったが、また起きて毛糸の帽子 と手袋を持っている。さては、どこかへ行く気だ。またとりあげて寝かせたが、また起きて廊下の3段式タオルかごに来て、探し物「何がいるの?」と訊くと「足が冷たい」と言う。「布団に入ったら、冷たくない。寝る!」と言って部屋に返す。また来たときが7時40分だったので、もう起こすことにした。もう靴下をみつけてはいていたし、パンツのゴムに手袋をはさんでいる。いったいどこに行く気?
 ご飯まで終わり、まだ9時だ。デイのお迎えまでまだまだ時間がある。部屋に連れて行ってテレビをつけたが、すぐに飽きた。私が洗濯物を干していると、傘を持って外に出てきたので、傘はさっさと取り上げる。「まだ、来ぃしまへんのんか?」と言いながら待っていた。
 先が思いやられる。「おしっこ、わからない」という「体の低下」と「興奮状態」という「気分の高揚」は反比例なのだ、ばあちゃんの場合!