ばあちゃんの姉の一周忌のお参り

 先月の末「10月29日、一周忌の法事に来て」と電話がかかってきた。あいにく夫は用事があり、行かれない。いとこが「あんたは?」と訊くので「ばあちゃんがいるよ」と言うと「預けられないの?」と訊く。「無理だよ。もう申し込みは終わっているし」と言うと「そうか、しかたないね」と言う。「連れておいで」とは言わないのだ!なんやねん?
 今日はばあちゃんがデイから帰るのを待って、一緒に家にお参りに行った。お供え物とご仏前を持って行った。ばあちゃんの姉さんは96歳で亡くなり、一男二女がいる。玄関を開けると、長男の嫁さんと次女が待っていてくれた。ばあちゃんはあがろうとして、いきなりこけそうになった。板がつるつるでよくすべるのだ。嫁さんがびっくりして抱きとめた。磨きすぎてつるつるなんだよ。
 中に入り、仏壇に供えてろうそくをつけ、線香を立てて拝んだ。二間つづきの部屋はもう大きな座敷机と座布団が並べられ、法事の用意ができている。嫁さんがお茶と饅頭を持ってきてくれた。ばあちゃんに一つ、包装紙をむいて渡すと「ほう〜、けっこでんな」と言いながら食べ始めた。「粉が落ちるから、手でちぎらずに、かぶって食べ」と家でやっているように指示をすると、上手に食べるが、従姉妹たちは気をつかって「べつに粉が落ちてもいいよ」と言う。「残りは隠しておいて。見えたらもっと欲しがるから」と言うと、あわてて隠した。ところが、食べ終わるとばあちゃんが「そこに、あるなぁ」と言う。ほんとだ。ばあちゃんから二女のほうを見ると、ちゃんと体の右側に饅頭の入った器が見えている。二女は「えっ?見えてるの?あるって、座布団のことを言うてるのかと思った」と言う。とんでもな〜い。ちゃんと饅頭をみつけている。目ざといのだ。
 ばあちゃんは食べ終わると「えらい、すんません、おせわかけます、だいじょうぶでっか?」...堂々巡っている。「デイサービスに行ってるつもりなんよ」と説明すると、二女が「行ったらいっつもこう言うてるんやろか?」「たぶん、そうやろ。おべんちゃんらはうまい。これで、皆、だまされる」と言うと、ばあちゃんが「ここでよろしんんでっか?」と言う。あ、これは「今晩、ここで泊めてもらえるか?食事はでるか?」そういう不安に陥っているのだ。夫が「帰ろう」と言う。さっさと外に連れて出て、また車に乗せる。やっぱり「これ以上の長居は無理」となると、連れて法事に来るなんて、不可能だね。
 いとこたちが「大変やね。24時間やから」と言う。あ、やっぱり大変かな?24時間と言っても、今日は6時半に寝たし、明日も8時までは寝るだろうから、半日以上は寝てるで。