「高次脳機能障害」

 橋本圭司著 PHP新書 2007年1月5日刊
 去年の12月に浜松の結婚式に行く前に新大阪駅の書店で買った。「高次脳機能障害は誰にでも起こりうる障害である」それは脳疾患によるものと事故などの頭部外傷によるものがある。だから「いつでも誰にでも起こりうる」
 
第1部 高次脳機能障害を理解する
 1.高次脳機能障害とは
 2.高次脳機能障害んも診断と症状
 3.高次脳機能障害は精神病か
 4.高次脳機能障害の社会的立場
第2部 日常生活の向上につなげるために
 5.家族・周囲の心構え
 6.高次脳機能障害リハビリテーション
 7.高次脳機能障害への対応法 
 8.社会復帰までの道のり
 おもしろかったのは(6)の「リハビリ」の中の「支援者が解決しておくべき問題」だった。「どこまでが障害で、どこからが個人のキャラクターによるものなのか?」たとえば、ばあちゃんで言えば「怒りんぼうは認知症の病気のためか、それとも本来持っていた性格が年とともに激しくなってきたのか」である。
 橋本先生は言われる。「それでも、どうしても線引きをしたい人のためにアドバイスしましょう。
 支援がうまくいった場合は、当事者のもともとのキャラクターのおかげだと持ち上げ、うまくいかなかった場合は、すべて高次脳機能障害のせいにしてしまう。高次脳機能障害以外の複雑な問題なども、都合よく障害のせいにしてしまうのです。これは、お互いの逃げ道をつくる意味で、有効な対応法といえるでしょう」
 あはは〜、笑える。すごい先生だ。この手でいこう。
 次に(7)の対応法。「基本編・感覚入力を整える」つまり「当事者が落ちついて過ごせる環境をつくる」たとえば障害のある人には刺激量が多いとしんどいのだ。「人が多い・少ない」「物が多い・少ない」「部屋が広い・狭い」という違いが大きく左右する。老人ホームでも認知症でない人は、自室に自分の大切な物をいっぱい置いて暮らすほうがよいだろう。なじみがあって落ちつける。でも、ばあちゃんのような認知できない人は物があると、何でも自分の物だと思い、しまいこむ。それを咎められると大変だ。怒ってパニックになる。スタッフなら咎めないが、他の利用者なら言うだろうし...トラブルの元。だから、ばあちゃんが新しく行き始めた施設で、怒って帰ってくるのは当たり前なのだ。「刺激が強すぎる!」人も物も多いのだもの。スタッフがばあちゃんに慣れてくれるのを待つしかない。
 それにしても、1冊の本を自分の都合の良いところだけ利用するなんて...邪道かも?