取材のつづき

 先日「つどい場さくらちゃん」で取材を受けた記者さんがやってきた。電車とバスを乗り継いではるばるやって来てくださった。おまけに寒い〜!
 まず、いろいろ質問された。「最初におかしいと気づいたのはいつでしたか?」「もう10年ぐらい前だと思います」「どう思いましたか?たとえば『うちの母に限って...』とか」「それは...しまった!かな?母の姉が認知症だったのに、うちの母もなるとは思っていなかったので、しまった!」「日記を書き出して自分の気持ちがどう変わりましたか?」とか昔のことを聞かれても「忘れました。古い日記が8冊ぐらいあるが、いつごろのどの日記かわからないので、探せない」とにかく、その時その時に対応するのがせいいっぱいだったのだ。忘れなければやっていけない!
 ばあちゃんがデイから帰ってきた。記者さんは隠れて観察する。ばあちゃんはわりに穏やかに「ありがと」と帰る。「こっちに来て」と台所に連れて入り「よそ行きの服、脱いで。これを着る」と1枚ずつ渡すと「一つずつ指示するんですね」と言われる。そう、それがこつ。着終わって「どないするねん?」と言うので「応接間でおやつ食べよう」と連れて行く。「ほう、おやつ、くれての?」と言って手を出して「けっこぅでんなぁ」と言う。私が「これは茶道でお茶をいただいて『結構なお手前でした』と言うのと同じ。喜んでいるんです」と解説。何回も食べるので記者さんは「よく食べますね」と言われる。ご機嫌だ。「今晩、どこで寝ます?」とばあちゃんが訊くので「ここ」とか「食事は出ますのんか?」「6時に食事。今は4時」と教えると「まだ2時間もありますがな」と声がとがる。記者さんは「計算してますね」と言われる。そうなのよ、勝手なときだけ計算できる。いろいろ話しているうち「どないしますのん!」...「あ、怒ってきた。目がおかしいよ」と私が言うと記者さんも「そうですね」ま、なんとかなだめて...記者さんが「これからもずっと家でやっていくんですか?」と訊かれる。「特養に申し込んであります。順番待ちです。ばあちゃんがこれからどうなるって訊かれても、お手本がないので、わからない。今!しか見えない」あ〜、その日ぐらしなんだよなぁ〜。
 記者さんも初めてこんな怒りんぼばあちゃんを見るのかも知れない。4時半ごろ帰っていかれた。参考になったかしら?