出演された介護者の方々の感想

 きしろさんは「つどい場さくらちゃん」撮影の日に相談に来て「母が同じものをいつも買ってきて、戸棚がいっぱいなんです」と言うと「ついて行ってみたら」と言われた。「そうか」と思い、早速その日に取材陣を引きつれ、お母さんの買い物について行く。「早速実行するところが偉いわ」と言われている。「ついて行くと、他の店に入り、なかなか買わずに吟味しているんです。早くスーパーに行けよ、と思いましたよ」と言うのがおもしろい。テレビ局もきしろさんも「その日、その時点の、あるがままのお母さん」を追いかけるよりも「いつも私を困らせているお母さんのパターン」を写そうと求めている。人間って、欲張りなものなんだな。これを追求しすぎると「やらせ」になってしまう。
 もっとも、私は初めから「やらせ」である。「ありのままのばあちゃん」に沿ってはいないので、取材はおことわりである。断るほうが正直である。
 ようこさんは「それまで、私と母が手をつないで歩いているのを見ていた近所の人も、あのテレビで初めて『あ〜、そうだったのか』とわかったようだ」と言う。そうだね。お母さんはこの日もつどい場さくらちゃんのテーブルの端っこの席にようこさんと並んですわり、皆と一緒にお茶を飲み、お菓子を食べ、隣の人とおしゃべりを楽しんでおられる。「綺麗なブローチね」と言われて微笑んでおられる。穏やかに過ぎるとき...である。