「クマと山林守って10年 尼崎 日本熊森協会が総会」朝日新聞阪神版

 クマを守り、山林の保全・復元活動に取り組んでいる自然保護団体日本熊森協会」(本部・西宮市)が設立10周年を迎え、25日に尼崎市内で祝賀総会が開かれた。協会の前身となったツキノワグマの保護運動は92年に尼崎市の中学生が始め、15年を経て全国に約8600人の会員と9支部を持つ団体になった。
 同協会は、クマが人里に出てきて駆除されるのを防ごうと、自然林を復元する植樹や、全国からドングリを集めて山に運ぶ運動などをしている。
 総会には、法人会員や京都や滋賀など9支部の関係者ら約200人が参加。テレビニュースなどをまとめた映像で10年の歩みを振り返った。
 森山まり子会長(58)は「尼崎発の運動が全国にどんどん広がっている。自然を守れるのはふるえる感性を持ち、生き物の痛みが分かる一般の人たちだ」と話した。
 前身のツキノワグマの保護運動は92年1月、尼崎市武庫東中学校の生徒たちが始めた。女子生徒の一人が、西日本の野生のツキノワグマが絶滅寸前になっていると伝える新聞記事を学校に持参。森山会長は当時、同校の理科教諭で、生徒らとともに署名活動を始めた。生徒らは93年、当時知事だった貝原俊民氏と面会して保護を訴え、その後、県内全域でのツキノワグマの狩猟禁止につながった。
 同校の中学時代から活動を続けている同協会企画推進局長の瀬戸悠子さん(29)は「大きな組織になっても最初の信念を忘れずに持ち続け、会員数100万人の自然保護団体を目指したい」と話している。