「誤嚥と肺炎」

「気管と食道はどちらが前にあるか?」答えは気管。だから気管切開をして、のどに人口呼吸器をつける。と言われたら、あ〜、そうか、と思うのだから、いかに普段は何も考えずに暮らしているか、ということだ。
「気管と食道はどちらが太いか?」答えは気管。太くて硬い。だから食べた物が入りやすい。それ故、食べるときの姿勢が重要になる。顔が前かがみであると、食道に入るので大丈夫。上を向いて食べると、食べた物は重力で下に落ちるから、前にある気管に落ちやすい。なるほど。
「気管は左右に分かれるが、どちらが太いか?」答えは右。心臓が中央よりやや左に寄るので(ほんと?消防士さんに救急法を習ったときは、ほぼ中央と言われたが)左の気管支が細い。右は太いし、傾斜も急なので、誤嚥すれば右に落ちる。
「肺は左右に一つずつだと思う人?」と言われ、手を上げたら、間違っていた。「教えたはずだよ」と言われたが「忘れた」か「私が休んだときの講義だった」か、どちらか、だ。解剖学で、絵を描いて説明して「左は上葉・下葉に分かれ、右は上葉・中葉・下葉に分かれる。右の気管支が太くて急で落ちやすいから誤嚥すると、右の下葉に落ちる」と説明されると、なるほど納得で忘れない。今まで学校で習った「人体のしくみ」とかは何だったんだろう?いかに実生活に結びついていないか、ということか?これでは、生徒達も学ぶ喜びにひたれないわね。
誤嚥したかも知れない。さて、どういうサインがあるか?」「むせる」「むせてくれたら大丈夫」「口の中に溜め込んでいる。ごっくんがうまくいかない」「うちの『たたかうおばあちゃん』の場合、クーッと言ったら、あ〜、つまった!背中をさすって吐き出させる」「吐き出せる間は大丈夫」あ〜、ばあちゃんはまだまだ、身体は元気だ、ありがたいこと。
「のどが動かない」「嚥下反射が見られない」「急におとなしくなる」「表情が険しい」「涙目になる」「鼻水・よだれが多くなる」「ぜいめい」まだまだありそう。
「確認するために何をするか?」「肺の音を聴く」「1分間の呼吸数を数える」
 誤嚥したあと、肺炎になりやすい。「微熱があって呼吸数が上がると、肺炎の疑いがある」「そのために、平熱と平常の呼吸数を知っておくことが必要」
 食後30分間は横になってはいけない。「牛になる?」消化器官の働きが落ちると、食べた物が逆流しやすい。逆流した物を止める構造にはなっていないので、確実に気管に入る。これはこわい。
 今日の話を聞いて、私はばあちゃんの元気さに感謝した。晩ご飯・入れ歯を洗って容器に入れる・お風呂・寝る、と流れ作業のように、流れを止めない、時間をおかない、などとやれるのは、ひとえにばあちゃんに体力があるからだ。途中で流れを止めると「どないしますのん?わからへんなぁ〜」と「わからん」地獄に落ちるのだもの、止められない。