ばあちゃんの子どものころ

 ばあちゃんの生まれは神戸市北区の農家である。小中学校を見下ろす丘の上に家があり、放課後、運動場で遊んでいると、父親が「炭焼きを手伝え」と言って呼びに来たのだそうだ。
 ばあちゃんの母親は後妻さんである。女の子を残して奥さんが死んだ。父親が再婚して男の子ができて、奥さんはその子を置いて離婚した。幼い子2人を残されてまた再婚した。その人が女・女・女・女・男・男と6人の子を産んだ。ばあちゃんは女の子としては末っ子である。「ばっし」だ。と言っていた。「末」をそう読むのだろう。
 すぐ上の姉は3歳上だが、小柄でおとなしかったので、ばあちゃんはその姉より先に起きて、姉がきちんとたたんで枕元に置いた服を着て行ったそうだ。あはは。小さい頃から、すばしこくて、やんちゃで、運動神経も抜群だったのだ。